何か事業を始めようと考えたとき、個人事業主か法人か悩むという相談をよくいただきます。また併せて、そもそも法人って個人事業主とどう違うのかよくわからないというご相談もいただきますので、まとめておきたいと思います。
会社は「法人」であって、個人とは別の人格である
一人または少人数での小規模なビジネスを始める、出資を募って大きく始める、ビジネスといっても多種多様です。特に小規模なビジネスを始める際には会社設立そのものが先行してしまい、会社という組織がどのようなもので、どのようなメリットやデメリットがあるのかは意外と見落とされがちです。会社を設立することで得られるメリットや、逆に設立することで負うリスクも理解した上で最善の選択をしていきたいですね。
その上で、まず最初のポイントとしては、会社は「法人」であるということが挙げられます。法律によって人と同じ権利能力を与えられた団体のことを法人と呼びます。法人は人間(法律上は自然人と呼ぶ)と同じく、ビジネスにおいて契約ができる権利などを与えられています。
最初は全て一人で完結できていても、規模が大きくなると従業員を雇うことになると思います。会社が法人でなければ大事な契約を結ぶときなどに、いちいち会社の代表が出ていかなければならなくなります。これでは大変なので、法人である会社が契約を結ぶことで必要な書類が整っていれば従業員でも契約を結ぶことができるという仕組みになっています。
会社は営利目的の組織である
辞書を引くと、会社とは「営利を目的とする社団法人で、会社法による株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の総称」と記載されていました。(三省堂「大辞林第三版」)
ここで大切なポイントは「営利を目的とする」という点です。
法人と名のつくものは実はたくさんあり、株式会社を筆頭に合名会社、合資会社、合同会社、NPO法人、宗教法人、学校法人などがあります。その法人の中で、会社だけは「営利を目的とした法人」となっています。つまり会社とは、法人格を認められた営利を目的とする法人ということになります。ですので、株式会社を設立するということは、営利を目的とした法人を設立し、その法人を通じてビジネス展開をしていくということになります。
「なぜ会社を設立するのか」という点を考慮し、どういった組織になるのかしっかりと考えた上で選ぶ必要があります。
会社を設立するタイミングは?
個人事業主で始めたビジネスが軌道に乗り、ある程度の利益が出てきた時は設立を検討するタイミングとなります。このように個人から法人に形態を変えることを「法人成り」と呼びます。節税を意識して法人成りをするパターンが多いのですが、一般的には1,000万円以上の利益を出せるようでしたら節税になると言われています。状況によって左右される部分もあるので1,000万円に固執する必要はありませんので、気になる方は税理士に相談するのが良いでしょう。
会社設立しなければならないケースもある
自分で設立のタイミングを計る場合もありますが、法人設立が絶対条件である場合もあります。
①営業許可の要件に「法人であること」とある場合
営業許可が必要な業種で、その許可要件に法人であることが求められている場合は法人設立せざるを得ません。
②取引先との関係上、法人であることが求められる場合
法人であることが取引条件となる場合は案外多いものです。企業によっては、法人の口座でないと代金を振り込まないケースもあるそうです。
自分にあった形態やタイミングを知り、手堅く進めていきたいですね!