開業届を出さずに活動したら罰則がありますか?や、開業届を出していないのに確定申告はできますか?などといったご質問をいただくことがよくあります。趣味から始まり本格的に活動するようになっていくという方も多く、このような疑問が生じるのかもしれません。
開業届は個人が事業を開始したことを税務署に知らせる書類で、所得税法に「事業の開始等の事実があった日から1か月以内に提出すること」と定められています。
しかし罰則規定はありませんので、開業届を出さずに事業を行っていても罰せられることはありません。「どのタイミングで開業届を出せばよかったのかわからなかった」という方は、気付いた時に提出すればそれでOKです。
また、開業届を出すメリットって何ですか?と聞かれることも多いため、まとめておくと次のようなことが挙げられます。
▶青色申告ができる
青色申告を行うためには、承認申請書とともに開業届を提出する必要があります
▶屋号つきの口座開設ができる
個人事業主の場合、開業届の控えを提出することで口座名義を屋号つきの名前でつくることができます(ただし、金融機関によって規定が違いますので事前の下調べが必要です)
▶就業証明になる
保育所の申し込みを行うとき、開業届が就労証明書類になります
▶保険・共済等に加入できる
賠償責任保険や小規模企業共済などの加入に際し開業届が必要となる場合があります
上記のメリット以外に、メンタル的な変化も得られることが多く、「事業主としての自覚が芽生えた」という方や「趣味から仕事になったという実感が沸いた」という方もいらっしゃるため、気持ちの上での変化も大きいのではと思います。そのあたりも鑑みて提出のタイミングを計ってみてはいかがでしょうか。
開業届の書き方
開業届は、税務署に出向いて提出する方法と、国税庁のサイトから用紙をダウンロードして郵送する方法、e-TAXで提出する方法があります。用紙で提出する場合は、必ず2部作成して受付印が押された控えを手元に保管するようにしてください。
納税地▶自宅で開業する場合は自宅の住所を記入します。自宅以外に店舗や事務所がある場合は自宅でも店舗や事務所の住所でも構いません。事務所と自宅が離れている場合は、所轄の税務署が変わる可能性が高いので、何かあったときに出向きやすい方にしておくのも良いかと思います。税務署からの郵便物が納税地に書いた住所に送られますので、自身にとって利便性の高い方にしておくと良いでしょう。
職業と事業の概要▶「職業」は決まった書き方があるわけではありませんが、仕事の内容が明確に伝わるよう具体的に書きましょう。この職業欄は事業税に影響します。(★個人事業主が知っておきたい4種類の基本的な税金)事業税が課税されない業種があったり、業種によって税率が異なりますので正しく書く必要があります。
「事業の概要」は仕事の内容をさらに具体的に記載します。開業届を提出した後に住所や事業内容が変わった場合は、再度開業届を提出する必要はなく、確定申告の際に変更後の住所や職業を記載すればOKです。
屋号▶屋号はない方もいらっしゃるため、空欄でも問題ありません。屋号が後でついたり、変わったりした際も再度提出する必要はありません。
開業日▶提出日から遡って一カ月以内ですが、それより古い日付であっても受理されます。
青色申告承認申請書▶青色申告をする方は「有」に〇をして「青色申告承認申請書」を一緒に提出すれば開業年分から青色申告ができます。白色申告の場合は「無」に〇をします。「無」として開業届を提出した後に、青色申告承認申請書を提出し青色申告にすることもできますが、この場合は事業開始日(または開業日)から2カ月以内であれば開業年から青色申告ができます。
上記期間以前に開業している方は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出すれば、その年から青色申告ができます。3月15日を過ぎてしまうと翌年から青色申告を行うことになりますのでご注意くださいね。