組織に雇われず個人として働くフリーランスを保護する「フリーランス・事業者間取引適正化法」(フリーランス保護法)が成立しました。
業務を委託する発注企業側に報酬額の明示などを義務付け、立場の弱いフリーランスが不利益を被らないようにすることが目的です。来年秋までに施行される予定ですので、簡単な概要をまとめておきたいと思います。
内閣官房が実施した調査によると、フリーランスとして働く人は国内に約462万人いるとされ、就業者全体の約7%を占めていると推計されています。副業で働く人も含まれていますが、新しい働き方としてフリーランスを選択する人が年々増えている状況です。
その一方、フリーランスを巡っては、報酬の不払いや遅延、不当に安い価格で契約させられる「買いたたき」など、不公正な取引が後を絶ちません。フリーランスは、個人として取引をする関係上、立場が弱くなってしまい、依頼主から多少の無理がある内容でも契約せざるを得ないケースも少なくありません。契約内容に反した支払の遅延や契約の打ち切りなどがあっても、声を上げられないフリーランスもいます。
発注企業とのトラブル事例
公正取引委員会などによる2021年の調査では、フリーランスの約4割が「依頼者から納得できない行為を受けた経験がある」と答えています。
・依頼主の都合でやり直ししたのに追加の費用は自己負担となった
・発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった
・報酬の支払いが遅れた、期日に支払われなかった
・仕様や作業期間、納品日を一方的に変更された
・同業他社と取引しないよう要請された
このような状況を改善するため新法では、フリーランスの権利や立場を保護し、業務を委託する事業者が、フリーランスに対して不当な要求などをしないよう、契約や支払いについて次のような遵守事項を定めています。
業務や報酬の明示を義務化
事業者がフリーランスに対して業務委託を依頼するときは、業務委託内容、報酬額などを記載した書面を交付するか、メール等での電磁的記録を提供することを義務化しています。また、フリーランスと一定期間以上、継続的に業務委託を行う場合は、上記に加えて業務委託の契約期間、契約の終了事由などを記載しなければなりません。
中途解約の事前予告
事業者が、フリーランスと一定期間以上、継続的に業務委託を行う場合、契約を中途解除、または契約期間満了後に更新をしないときには、中途解約日または契約期間満了日の30日前までに予告することが義務化されます。
さらにフリーランスからの求めがあった場合、事業者は契約終了の理由を明らかにしなければなりません。
委託募集時における表示内容
事業者が、業務委託するフリーランスを募集するときには、募集内容を正確に記載し、虚偽の内容や誤解を生じさせる表示をしてはいけません。
また、募集に応じて業務を受託するフリーランスに対して、募集内容に準じた事項を説明し、募集内容と異なる業務委託内容があれば、その旨を説明する義務があります。
60日以内の報酬支払い義務化
事業者は、フリーランスから納品物や業務棟の委託内容の提供を受けた日から、60日以内に報酬を支払うことが義務化されます。
◆事業者側が守るべきポイント◆
・業務委託する際は、報酬額、業務内容などを書面やメールで記載
・フリーランスに過失がないのに返品したり、報酬を減額しない
・相場に比べ著しく低い報酬額を設定しない
・報酬の支払いは60日以内
フリーランスとして活躍中の方、もしくはフリーランスの方と契約する機会のある方、今まで以上に注意が必要になりますね!
\一人で頑張りすぎないで!一緒に考え、トライし、検証しましょう!/
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