給与所得の源泉徴収事務の締めくくりである年末調整の手続きが終わった後、引き続き行わなければならないのが「法定調書」の作成・提出作業です。
法定調書とは、所得税法、相続税法、租税特別措置法、国外送金等調書法の規定により、(令和4年中に)一定の支払い等をした際に、その内容について所定の調書を作成し、所轄の税務署に提出するよう義務付けられているものです。
例えば、従業員に対して給与を支払った場合には「給与所得の源泉徴収(給与支払報告書)」特定の者に報酬を支払った場合には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出が必要となります。
また、地代・家賃を支払ったり、不動産の買入代金を支払った場合のように源泉徴収の対象とされていないものについても「不動産の使用料等の支払調書」や「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出が必要です。
しかし、法定調書の作成・提出の手続きは提出義務者にとって相当の負担ともなります。そこで課税の公平性を害さない範囲において、区分や支払金額により提出不要の限度を設けていたり、所轄税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」と市区町村に提出する「給与支払報告書」などは様式を統合するといった負担軽減措置が講じられています。
法定調書には多数多様の種類(全部で60種類)がありますが、ここでは一般的に会社が提出をしなければならない6種類の法定調書の支払内容についてまとめました。
それぞれの法定調書の金額による提出範囲や提出不要のもの、その他詳細につきましては、国税庁ホームページに提出の令和4年分「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」をご参照くださいね。
主な法定調書 | 支払の内容 |
給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書) ※給与支払報告書は市区町村に提出 | 俸給、給料、賃金、歳費、賞与、その他これらの性質を有する給与 |
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票 ※特別徴収票は市区町村に提出 | 退職手当、一時恩給、その他これらの性質を有する給与 |
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金 (外交員、集金人、電力量計の検針人、ホステス、コンパニオン等への報酬、料金等や広告宣伝のための賞金等) |
不動産の使用料等の支払調書 | 不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価 |
不動産等の譲受けの対価の支払調書 | 不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の対価 |
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買又は貸付けのあっせん手数料 |
【令和4年分の法定調書の提出から適用される主な改正事項】
・令和5年1月1日以降、各市区町村へ書面で提出する給与支払報告書が2枚から1枚になります
・民法改正により、成年者の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。受給者の方が賦課期日現在で満 18歳未満に該当する場合は「未成年者」欄に〇を記載してください。(具体的には令和4年分給与所得の源泉徴収票の場合、平成17年1月3日以後生まれの方が未成年者に該当します)
・令和威4年1月1日から、役員等以外の者としての勤務年数が5年以下である者に対する退職手当等(短期退職手当等)について、退職所得の金額の計算方法が改正されました
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