新型コロナウイルス感染症は未だに落ち着きを見せず、各方面への影響は多大なものがありますが、緊急事態宣言解除以降、経済活動は徐々に回復しつつあります。しかし、長引く感染拡大で大きな打撃を受けた中小企業の中には、いまだに苦境から抜け出せないケースが多くあります。

こうした状況を踏まえ、政府は歳出規模約36兆円の2021年度補正予算案の中で、売上が減少した中堅・中小・小規模事業者と個人事業者を対象とした「事業復活支援金」の新設を盛り込みました。
今回は、「事業復活支援金」の受給要件や支給額、「持続化給付金」との違いなど、現時点で明らかになっていることについてまとめました。


「事業復活支援金」は、新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受け、売上が減少した中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、その影響を緩和して事業の継続・回復を支援するための給付金です。要件を満たしていれば、借入金ように返済義務はありません。

対象は売上高30%以上減少

2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上が、前年か2年前の同じ月より30%以上減った中堅・中小・小規模事業者、フリーランス、個人事業者に対し、最大250万円が支給されます。

これまで国の給付金としては「一時支援金」と「月次支援金」がありました。いずれも緊急事態宣言などの影響緩和のための給付で、実質的に対象エリアや業種は限定されていましたが、今回の「事業復活支援金」はそうした縛りはなく、地域や業種は問いません。

支給額は5か月分を一括給付

2021年11月~2022年3月の5カ月の売上高の減少額を基準に算定した金額(5カ月間の減収分)を一括支給(上限額あり)する予定となっています。

対象になるのは、この5カ月の間に、ひと月の売上高が①50%以上減少、または②30%以上50%未満減少した事業者です。

法人の場合は、それぞれ年間売上高によって、次のように給付額の上限額が設けられています。

・年間売上高5億円~
最大250万円(売上高の減少率30%~50%の場合、150万円)

・年間売上高1億円~5億円
最大150万円(売上高の減少率30%~50%の場合、90万円)

・年間売上高~1億円
最大100万円(売上高の減少率30%~50%の場合、60万円)

また、個人事業主(フリーランス含む)の場合は

・最大50万円(売上高の減少率30~50%の場合、30万円)

年間売上には関係なく、上記の上限額が設けられています。

持続化給付金では、ひと月の減収率が「前年同月比50%以上」が支給要件でしたが、今回は①と②の2段階となっており、「減収率30%以上まで対象」とされ、減収率の要件が緩和されたことになります。法人については年間売上高によって給付金の上限が変動するのも、持続化給付金との違いです。

事前確認

一方、持続化給付金に関しては、「申請のやりやすさ」を逆手にとった不正受給が相次ぎ、社会問題となりました。今回はそうしたことが起きないよう、国が認定した登録確認機関による事前確認が行われます。事前確認では、Web会議/対面/電話を通じ、事務局が定めた書類(帳簿等)の有無の確認や質疑応答の形式的な確認を行います。

申請の開始時期などについて、中小企業庁は「補正予算成立後、所要の準備を経て申請受付開始予定」としており、詳細についてはまだ未定の部分もあります。
今後の情報に注意しつつ、受給要件に該当する場合には、忘れずに申請するよう注意してくださいね。


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