毎年この時期になると、お中元というキーワードをよく目にすると思います。お中元を用意する際に気を付けるマナーや、経費とするための会計処理が気になるところだと思いますので、今回はお中元のマナーから送り方、経費処理の仕方についてまとめておきます。

お中元は、日頃お世話になっている方や取引先に感謝の気持ちを込めて贈るものですので、必ず贈らなくてはいけないという決まりはありません。

ただし、お中元を贈った場合はお歳暮(12月上旬から12月20日頃)も贈るのが一般的なマナーとなっていますので、年に1回だけ贈る場合は、お中元ではなくお歳暮を贈るようにしましょう。

また、一度だけ贈りたい時は「お礼」や「御礼」の品として贈るのが良いです。

金額の相場は3,000円程度ですが、大切な取引先は5,000円~10,000円が目安となります。

お中元を贈る時期は地方によってずれがありますが、首都圏では7月上旬から15日ごろまでに贈るのが本来の習慣です。最近では6月下旬から7月15日ごろまでに贈ることが一般的になっており、これを過ぎるときは、表書きを立秋までは「暑中御見舞」に、立秋以降は「残暑御見舞」に変えれば失礼はありません。贈り先が目上の方の場合は、それぞれ「暑中御伺い」「残暑御伺い」とします。

首都圏以外は7月上旬から8月15日ごろがお中元の期間のようですが、立秋などを過ぎたら「残暑御見舞」「残暑御伺い」として贈ります。

なお、お中元は毎年贈るのが基本ですので、今年、特別にお世話になった方に恒例とせずに贈るなら、「御礼」とした方が良いでしょう。のし紙は紅白5本蝶結びで、贈り主が個人の場合、名前は姓のみとします。

逆にお中元をいただいた場合、お礼の意を伝えるのは最低限のマナーです。
よほど親しい仲なら電話やメールでもよいですが、特に目上の方の場合は、ハガキでもよいので手書きのお礼状がおすすめです。ビジネス上の取引先など、数が多い場合は印刷でも構いませんので、なるべく早くお礼を伝えましょう。

お中元やお歳暮は「接待交際費

お中元やお歳暮は取引先と良好な関係を継続していくために必要不可欠な出費といえますので、会計上もこれらの支出は接待交際費として処理することができます。

なお、個人事業の場合は、接待交際費を全額経費として損金計上できますが、法人の場合は会社の規模に応じて一定の制限があるため注意が必要です。

資本金1憶円以上の法人…接待飲食費の50%まで

資本金が1憶円以下の法人…年間800万円まで、または接待飲食費の50%まで

個人事業主…全て損金として計上可能

商品券も贈答用として使える

何を送れば良いか決められない場合、商品券を贈る方もいらっしゃいます。

贈答用として商品券を購入することになりますので、商品を購入する時と同じく勘定科目は「接待交際費」となります。現金で5,000円分の商品券を購入した場合の仕分けは下記のようになります。

なお、商品券の消費税区分は「非課税」であることがポイントです。消費税区分は忘れずに行いましょう。

商品券を金券ショップなどで額面よりも安く購入するケースもあります。この場合は、差額を「雑収入」勘定で処理するため、下記のような仕訳になります。

あくまで商品券の額面が基本となりますので、購入した価格で処理することのないように注意してください。

送料や交通費も経費に計上できる

お中元・お歳暮を得意先などに届けるには、送料や交通費がかかります。その送料や交通費も、経費になります。

ここで皆さん疑問に感じるのが、送料や交通費をどの勘定科目で処理をするのかということではないでしょうか。

前述のように、お中元・お歳暮を接待交際費とした場合、送料や交通費も接待交際費で処理します。それは、接待交際費の範囲が次のように定められているからです。

「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。」

お中元・お歳暮を得意先などに届けるための送料や交通費も上記「贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」に含まれるため、接待交際費で処理することになります。

お中元やお歳暮は基本的に接待交際費になりますが、会社名やお店の名前を覚えてもらうことを目的としてカレンダーや手帳などを贈る場合もあります。この際は接待交際費ではなく広告宣伝費で処理することになりますので、送料や交通費も同じく広告宣伝費に含めたり、通信費などの勘定科目で処理したりすることになります。

領収書だけでは足りない!?税務調査で疑われないために

コロナ禍で止まっていた税務調査が再開されました。

税務調査があるとほぼ必ず「交際費」についてチェックが入ります。

税務調査官は交際費を「プライベートに使っていないか」という疑いを持って調べますので、変な勘違いをされないようにする自己防衛のための方法をご紹介しておきます。

お中元・お歳暮などの贈答品で税務署から疑われるポイント

お中元やお歳暮といった贈答品は、社長のプライベート利用などに使われやすい性質があります。

例えば、商品券などを会社のお金で購入して、それをこっそり自分や家族・友人に使ったり、お客さんに不当に高額な贈答品を渡して、そのお客さんからいくらかお金をキャッシュバックしてもらうといったようなことが見受けられるようです。税務調査官もこのことはよく知っているので、税務調査ではほぼ必ず確認してきます。

具体的に自分が税務調査に入られた際、身の潔白を証明するために下記のような証拠を残しておきましょう。

  • 購入時の領収書
  • お中元・お歳暮リスト

このようなリストは、通常お中元やお歳暮の発送先を決めるとき(送り漏れがないようにチェックするため)に必要になりますので、発送先リストを作成する目的だけでなく税務調査対策としてもうまく活用しましょう。

逆にお歳暮やお中元を受け取った時にもこのようなリストへの入力をしておけば、お礼状を返送したかどうかもチェックできますし、次回送付するリストを作成する際にも活用できますので併せて作っておくと便利ですね。


わかっていても時間がなくてつい…という方も多いですので、そんな時は弊社にご相談くだされば、ご予算に合わせた贈答品の手配(品物選定、発送手続)から、贈り物をいただいた際のお礼状の作成や送付もお任せいただけますよ。

お世話になった方々とのお付き合いが、より円滑になるようサポートさせていただきますのでお気軽にお問合せくださいね!