法人として起業する際に必要となる準備の一つに資本金があります。
そもそも資本金とはどういったものなのか簡単にご説明しておきます。

資本金は会社の体力、規模を表す

資本金とは、会社として事業をスタートする際に自分で用意した自己資金(運転資金)のことを指します。資本金が多ければ多いほど資金繰りに余裕がある状態となり、金融機関から融資(お金を借りる)を受ける必要がない状態とも言えます。

資本金の額は業種によってまちまちで、PC1台さえあればスタートできる業種もあるでしょうし、大規模な設備投資が必要な業種もありますので、一律いくら必要と言い切ることができません。ご自身のビジネスモデルに従って、必要な資本金を計算した上で設定するようにしましょう。


◆資本金に関してよくあるご質問

資本金の額はいくらでも良いか

以前は株式会社設立には1,000万円、有限会社設立には300万円の資本金が必要という決まりがありましたが、新会社法の施行により、最低資本金制度が撤廃となったので現在はいくらに設定しても構いません。

極端な例としてよく聞くのが「1円でも株式会社設立ができるのか」ということ。
結論から言うと、1円でも株式会社や合同会社の設立は可能です。

しかし前述の通り、資本金は会社の体力や規模を表していますので、1円は極端な例としても、安易に決めるのはこれから経営をしていく立場においても避けた方が良いでしょう。

借入金も資本金に該当するか

借入金とは、金融機関から資本を調達し返済義務が発生するお金を指します。資本金は創業時に会社が持っている自己資金を指し、返済義務はありません。

従って、返済義務のある借入金を資本金として計算することはできませんので注意しましょう。

1,000万円未満の資本金は節税になるか

資本金の金額を決める一つのボーダーラインとして1,000万円というのがあります。資本金を1,000万円未満にするメリットが大きく2つありますのでご紹介します。

【メリット1:創業の初年度から消費税が最大2年間免除される】

新設法人の場合、最初の2期(2年間)は一定の条件をもとに免税となります。創業して6カ月の売上もしくは人件費のいずれかが1,000万円以下であれば2年目も免税となりますが、1,000万円を超える場合は資本金が1,000万円以下であっても消費税がかかる場合があります。

資本金が1,000万円以上の場合は初年度から課税事業者として納税の義務が発生しますが、課税事業者を選択した方が良いケースもあるので、税理士に相談するのが良いでしょう。

メリット2:法人住民税均等割の納税額が最低限で済む】

法人住民税とは、会社などの法人(個人以外の者)が地方自治体に納税する義務のある地方税のことです。法人はもしも赤字であったとしても、定められた一定の金額を納付する必要があり、これを「均等割」と言います。従業員が50人以下の場合、資本金が1,000万円未満だと納付額が最も低い7万円となり、1,000万円以上の18万円と比べて11万円の差が生じます。


金融機関からお金を借りるときのこともイメージしておこう

例えば、資本金10万円の会社と、資本金300万円の会社があったとします。会社を設立したときに、300万円の融資を金融機関に申し込んだとしたら、どちらの会社が融資を受けやすいでしょうか?

資本金は、会社のスタート時の体力を表わしますので、資本金300万円の会社の方が融資を受けやすいのが一般的です。金融機関からお金を借りることを考えているのであれば、資本金は多いほうが借り入れはしやすくなります。

許認可を受けるときに資本金の金額が条件になるときもある

職業紹介事業なら500万円以上、一般建設業においても500万円以上、労働者派遣業の許可を会社設立時に取得しようと考えた場合は、資本金が2,000万円以上必要になります。

このように、資産要件がある場合もありますので、自分が行おうとする事業の許可要件を確認することも必要となります。会社を設立した後に、許可取得のために資本金が足りなくて、後から増資をするなど、余計な費用がかからないように注意しましょう。


何度もお伝えしましたが、資本金とは会社スタート時の運転資金で、会社の体力と規模を表します。法律上、金額は自由に設定することができますが、1,000万円を基準に納税額が大きく異なるため、資本金は1,000万円を一つのボーダーラインとして設定すると良いでしょう。

具体的な金額を算出する際には、例えば最初の1年間でかかりそうな経費を計算してみて、その額に沿って決める、などの方法もあります。少なすぎる場合は金融機関からの融資や他社との取引・契約に悪影響を及ぼす可能性がありますので、ご注意くださいね。

なお、資本金の額は途中で増やすことも減らすこともできます。ただし、いずれも株主総会での承認が必要で、また減らす場合は2ヶ月近くの期間が必要になります。

会社設立後に窮屈な経営にならないためにも、できる限りゆとりをもって準備してから起業するようにしたいですね!

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